ボストン交響楽団オーボエ奏者 若尾圭介の

ボストン交響楽団オーボエ奏者 若尾圭介の クラシックな日々 in ボストン

【第19回】
 メモリアル・ウィークエンド〜ボストンの夏の始まり

 毎年5月の最終月曜日はアメリカの祝日、メモリアルデー(戦没者追悼記念日)です。先週土曜日から3日間の《メモリアル・ウィークエンド》は、ボストンにも清々しい青空が広がり、気温も上がって汗ばむほどでした。
 今回は、我が家のメモリアル・ウィークエンドの様子をお届けします。

《ボストン美術館巡り》


ボストン美術館でエル・グレコの画集を探す

 メモリアル・ウィークエンドというと、家々の庭でのバーベキューパーティや、家族や友人とのキャンプやピクニックと、多くのボストニアンはようやく巡って来た夏をいち早く取り入れて過ごします。でもそういったアウトドア系は7月にタングルウッド音楽祭が始まってからの現地での楽しみにとっておくとして、私はしばらくぶりにボストン美術館に出掛けてみました。お目当てはエル・グレコの絵画。ちょうど今、ボストン美術館では「エル・グレコからベラスケス〜フェリペ3世統制下の芸術」という特別展を開催しています。エル・グレコはギリシア・クレタ島出身で、1576年頃からはスペインで画家として活躍しました。宮廷画家になろうと試みるも、現実とはかけ離れた描写、色、情念の迸るようなエル・グレコの絵は時のスペイン王、フェリペ2世の好みには全く合わず、宮廷画家という、ある意味芸術家としての最高の地位を手に入れることは出来なかったというエピソードがあります。誰に理解されずとも、スタイルを貫いたエル・グレコ独特の筆跡には、情熱、悲哀、野心、歓喜、神秘性や恍惚感などのあらゆる感情、芸術の原点が宿っているようで昔から好きな画家の一人です。今回の特別展で、特に印象的だったのは「受胎告知 (Annunciation)」や「Apostle St. James the Greater」など。これらの絵画を見ながら、日常から全く別の世界へ引込まれていくような感覚を楽しみました。

《友人たちとの食事会》


素敵なディナーのプレゼンテーション

 それから、友人宅での食事会が続けて2回ありました。まずは日曜日の午後に夫婦でボストン響首席フルート奏者であるエリザベスと、ヴァイオリン奏者グレンの家へ。典型的なダブル・インカム・ノーキッズの彼らの住まいは生活感が全く見えずにとても居心地良く、クリーンな印象のあるエリザベスの奏でる音楽とどこか相通じていました。家というのはそこに住まう人を如実に物語るものだなと思います。ランチをしながら仕事場では出来ない話題も飛び出し、スマートな彼らの人柄、考え方が伝わってきて、同僚との貴重なコミュニケーションの場となりました。
 そしてメモリアル・デーの月曜日は、妻の友人Mさん宅へ。妻が以前、JALで国際線の客室乗務員をしていた頃の友人で、家族でボストンに住んでいるのです。まずは美しく準備されたディナーテーブルにつき、シャンパンで乾杯。その後に続く料理も前菜、スープ、サラダにメイン、デザートと全て手作りのフルコース。想いを込めて創出された食と食空間のアート。まさにファーストクラス! のおもてなしを体験しました。実際周りは子供達が走り回っていて、かなり騒々しかったにもかかわらず、美味しい料理が並び会話の尽きないテーブルは、まるで別空間の如く終始ゆったりとした空気が流れていたのは何とも不思議な感覚。家族皆でいい時間を過ごさせてもらいました。

楽しかった今年のメモリアル・ウィークエンドも穏やかに過ぎ、さぁ、いよいよボストンにも夏がやってきます。

若尾さんのコンサートチケットプレゼント!



「クラシックな日々inボストン」を連載中のオーボエ奏者 若尾圭介さんが出演するコンサートのチケットを、コラム愛読者の中から2組4名様にプレゼントします。

◆《音楽バカ〜楽しくなければ音楽じゃない!!》第3回
2008年6月17日(火)19時開演

会場; 日本大学カザルスホール(JR御茶ノ水駅 徒歩5分)
出演; 佐久間由美子(フルート)、猪俣智佳夫、若尾圭介(オーボエ)、ロバート・シーナ(イングリッシュホルン&オーボエ)、十亀正司、山本正治(クラリネット)、岩佐雅美、吉田将(ファゴット)、山本真、吉永雅人(ホルン)
グリーグ ;木管八重奏のための4つの叙情小品
イベール ;木管五重奏のための3つの小品(1930)
ビゼー ;カルメン組曲(木管五重奏版)
ベートーヴェン ;2本のオーボエとイングリッシュホルンのための三重奏曲(モーツァルト《奥様お手をどうぞ》による変奏曲)
グノー ;小交響曲 変ロ長調

全自由席4,000円 学生3,000円

◆チケットプレゼント応募方法
氏名・年齢・郵便番号・住所・電話番号・メールアドレスを明記の上、雑誌ネットプレゼント係(present@zassi.net)宛てにお送りください。当選者の発表は発送をもってかえさせて頂きます。(締切:2008年6月9日)
※頂いた個人情報は、抽選及び賞品発送のためにのみ使用します。

2008年6月10日 募集を締め切らせていただきました。
たくさんのご応募ありがとうございました。

 
若尾
マンハッタン音楽院ジョセフ・ロビンソン氏に師事、卒業後同学院で教鞭をとる。マイケル・ティルソン・トーマス率いるニューワールド交響楽団創立の1987年、初代オーボエ奏者として同楽団入団。1990年よりボストン交響楽団準首席奏者及びボストンポップスオーケストラ首席オーボエ奏者を兼任。更にニューイングランド音楽院で教鞭をとる。日本での活動としては88年より“若尾オーボエキャンプ”を毎年行っている。98年クリストフ・エッシェンバッハ氏と共演のデビューCD「カンツォネッタ」をはじめとし、ジョン・ウィリアムス氏等の著名な音楽家とのCDも多数リリースしている。近年では代官山ヒルサイドテラス音楽祭音楽監督、スーパーワールドオーケストラ首席オーボエ奏者など、ソリスト以外にも様々な活動を展開している。
http://wkboston.exblog.jp/
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