ボストン交響楽団オーボエ奏者 若尾圭介の

ボストン交響楽団オーボエ奏者 若尾圭介の クラシックな日々 in ボストン

【第7回】
 代官山発『ヒルサイド・ウィンズ』始動

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『ヒルサイド・ウィンズ』のリハーサル

 日頃はボストン交響楽団のオーボエ奏者として、ボストンを拠点に音楽活動をしていますが、年に数回は日本でのコンサートの為に帰国します。
 帰国して旅の荷物を解くなり、足が向いてしまうのは東京・代官山。大小多様な音楽ホールのひしめく大東京にあって、私が演奏させて頂くのは代官山ヒルサイドテラス・プラザホールが圧倒的に多いからです。
 『若尾圭介と仲間達のコンサート』というシリーズコンサートの第1回を1998年12月にヴァイオリニストの竹澤恭子さん、ピアニストのエドモンドアーカスさんとの共演で開催してから、今年で10年目。これまで実に、15回のコンサートを開催しました。他に、代官山ヒルサイドテラス音楽祭、別のシリーズコンサートやオーボエキャンプの会場としてなど、『代官山ヒルサイドテラス』は今や日本の音楽活動の拠点であり、大切な音楽仲間と共演してきた想い出多き場所なのです。
 こんなに長く、回を重ねて、思い通りのコンサートをさせて頂けるのは、他ならぬ『代官山ヒルサイドテラス』オーナー、朝倉徳道様ご夫妻のご支援のお陰です。ご夫妻はその芸術・文化に対する造詣の深さはさることながら、美しい音楽を求め、愛する心意気をもとに、日本における《ノブレス・オブリージュ》を実践されている数少ない方々。昨今流行の「一般受け」するものではなく、世界の何処ででも通用する音楽でなければ意味がない。そんな真正面からのクラシックコンサートをこれほどサポートして下さるということが、現代日本社会ではどれだけ特異なことか。また、採算は度外視しなければ成立たないということを思うと、ご夫妻には感謝の気持ちが絶えません。
 この度、その代官山ヒルサイドテラスを出発点として、私とNHK交響楽団のファゴット奏者である水谷上総さんとが中心となって木管五重奏団を結成することになりました。2008年2月22日、代官山ヒルサイドテラス・プラザホールにて結成記念コンサートを開催します。木管五重奏は、5本の木管楽器のアンサンブル。オーボエ、ファゴット、そして、フルートにNHK交響楽団の神田寛明さん、クラリネットに東京都交響楽団の三界秀実さん、ホルンには東京都交響楽団の西條貴人さんという、現在の日本の音楽界を代表する錚々たるメンバーを集めました。

02
『ヒルサイド・ウィンズ』のポスター

 私の頭の中のある部分では数年前から、将来のコンサートの企画や活動の方向性を模索し続けていて、今日本で最も優秀な同世代の木管奏者達とともにアンサンブルグループを組みたいという想いが常にありました。日頃、海外を拠点にしているからこそ、日本の仲間と密な共演をすることで見えてくることもあるのではないか、というのが結成に向けての大きな原動力。
 ヒルサイド・ウィンズというネーミングは、私の心の拠り所という気持ちを込めてつけたもの。アメリカでは大学のレジデンシィとして、学内のホールでコンサートを開いたり、学生に教えたりすることの出来るポジションがあります。そのような常設アンサンブルグループという意味合いではなく、私にとって特別な場所である代官山ヒルサイドテラスを出発点に、大きく飛躍できますようにという願いを込めています。

 私以外のメンバーは今頃日本で、多忙な毎日の合間に本番に向け、入念な準備をしてくることでしょう。私もひとりきりではありますがここボストンで、コンサート当日披露できるであろう、ぴったりと息の合った絶妙なアンサンブルに思いを馳せながら練習とリードの調整に励む今日この頃です。

 数あるコンサートのなかでも、ぜひ聴いて頂きたい今回のヒルサイド・ウィンズ結成コンサート。この連載の読者の皆様が足をお運び下さり、また新たな出会いが広がれば、非常に嬉しく思います。

《ヒルサイド・ウィンズ結成記念コンサート》

2008年2月22日(金)午後7時開演 代官山ヒルサイドテラス プラザホール

若尾圭介(オーボエ) ボストン交響楽団準首席オーボエ奏者
神田寛明(フルート) NHK交響楽団首席フルート奏者
三界秀実(クラリネット) 東京都交響楽団首席クラリネット奏者
水谷上総(ファゴット) NHK交響楽団首席ファゴット奏者
西條貴人(ホルン) 東京都交響楽団首席ホルン奏者
広瀬悦子(ピアノ) ゲスト奏者

《曲目》

モーツァルト;ピアノと管楽のための五重奏曲 変ホ長調
ヒンデミット;木管五重奏曲
プーランク;オーボエとファゴットとピアノの為の三重奏曲
ピエルネ;パストラーレ 作品14-1
フランセ;木管五重奏曲 第1番

全席自由 4000円
問合せ・アスペン 03-5467-0081
http://www.aspen.jp

 
若尾
マンハッタン音楽院ジョセフ・ロビンソン氏に師事、卒業後同学院で教鞭をとる。マイケル・ティルソン・トーマス率いるニューワールド交響楽団創立の1987年、初代オーボエ奏者として同楽団入団。1990年よりボストン交響楽団準首席奏者及びボストンポップスオーケストラ首席オーボエ奏者を兼任。更にニューイングランド音楽院で教鞭をとる。日本での活動としては88年より“若尾オーボエキャンプ”を毎年行っている。98年クリストフ・エッシェンバッハ氏と共演のデビューCD「カンツォネッタ」をはじめとし、ジョン・ウィリアムス氏等の著名な音楽家とのCDも多数リリースしている。近年では代官山ヒルサイドテラス音楽祭音楽監督、スーパーワールドオーケストラ首席オーボエ奏者など、ソリスト以外にも様々な活動を展開している。
http://wkboston.exblog.jp/
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