今回のゲストはテレビのバラエティなどにもご出演の市川春猿さん。女形ならではの苦労や、下積み時代の日々についてファン垂涎のお話をお聞きしました。
第7回 ゲスト 歌舞伎役者 市川春猿 1970年11月29日、東京都生まれ。
幼い頃から歌舞伎に興味を持ち鑑賞するうち、猿之助の舞台をみて憧れ、歌舞伎俳優を志す。国立劇場、歌舞伎俳優研修生になり、昭和63年第九期修了。その後、念願の猿之助のもとに入門し、市川春猿を名乗る。時代物の演目から「夏祭浪花鑑」の傾城琴浦などの世話物、また歌舞伎の舞台以外には「西太后」での醇親王夫人と、現代的なセンスを活かした独特の個性が光る女形。平成12年、名題昇進。平成14年夏に自主公演「市川春猿の会」を主宰し、新派の演目「明治一代女」のお梅に歌舞伎女形として取り組むなど意欲的な一面をみせる。平成18年歌舞伎座にて坂東玉三郎演出「夜叉が池」で主役を務める。平成19年第28回松尾芸能賞・新人賞を受賞。現在では数多くのバラエティ番組にも出演している。

3つの時から歌舞伎好き
- 小林
- 今日は、舞台があるところ、お昼公演と夜公演の休憩時間においでいただきました。春猿さんは、歌舞伎は勿論のことテレビなどでも幅広くご活躍ですね。この間は朗読劇の『リーディング・スペクタクル』を拝見しました。
- 春猿
- ありがとうございます。
- 小林
- 目力が強いですね!
- 春猿
- とんでもないです。
- 小林
- 東宝ですと『残菊物語』にご出演頂いていますね。
- 春猿
- 東宝さんはあれ一回ですが・・・・・・(笑い)。
- 小林
- そうですか?
- 春猿
- 今後また使って頂けることを期待しております。
- 小林
- ほんとに。日比谷にあった芸術座跡に「シアタークリエ」という新しい劇場が11月にオープンしたんですよ。
- 春猿
- ええ、あの宝塚のところ。
- 小林
- いまその柿落としの公演をプロデュースしていまして。
- 春猿
- 演目は何ですか?
- 小林
- 三谷幸喜さん作・演出の『恐れを知らぬ川上音二郎一座』です。春猿さんは、中学生の頃からずっと歌舞伎が好きで歌舞伎通だったと伺っています。
- 春猿
- いえいえ通じゃありませんよ、好きでしたけれど。
- 小林
- 学生時代は、歌舞伎一辺倒みたいな生活をされていたんですか?
- 春猿
- 全然違いますよ。
- 小林
- じゃあ巷で流れている「中学の頃から歌舞伎博士」というのは単なる噂だったんですね。
- 春猿
- そうそれは全く嘘です。そんなこと言った覚えないし。芝居は好きでしたから、観には行っていましたが、歌舞伎博士だなんて全然。未だによく解らないこともありますから(笑)。
- 小林
- いつくらいに歌舞伎に目覚められたんですか?
- 春猿
- 自分では記憶がないのですが、3つくらいの時かな。NHKの教育番組で邦楽の番組が始まると、テレビの前から動かない子だったと親から聞いています。だから「何がきっかけで」と聞かれると、覚えていないので困りますね(笑)。
- 小林
- 歌舞伎が好きなまま大きくなって、歌舞伎の学校に入られたと。
- 春猿
- そう中学校を卒業してから歌舞伎の養成所に入りました。

- 小林
- 相当な決意がおありだったんじゃないですか?
- 春猿
- うーん。そうだけど、若気の至りっていうんじゃないけど、恐いもの知らずっていうかね。
- 雑誌ネット
- 高校の先生に薦められて、この道に進まれたとどこかで拝見した気がしますけれど。
- 春猿
- そうそう、またそうやって話が伝わっているんだけれど、それは違っていて、私は一カ月だけしか高校へ行かなかったんです。
- 小林
- 普通の高校ですか?
- 春猿
- 都立高校。歌舞伎の養成所に入りたいから高校を辞めますって退学届けを出しに行ったときに、学校の先生が「そうだね、お前はそっちの方がいいかもね」って言った話が、学校の先生に薦められたってなっちゃっているみたいですね・・・・・・。
- 小林
- だけど高校に入って1ヶ月でその先生もよく歌舞伎に向いているって見抜きましたよね。
- 春猿
- 見抜いてたって言うか・・・・・・。今思うと適当な先生と言うか(笑)。
- 小林
- アハハハハ、その先生の後押しで無事高校も辞められて。
- 春猿
- 元々高校に行く気はさらさら無かったんですが、中学を卒業する時にこっちに進みたいって親に言ったら「一つのことをきちっと成し遂げて結果を出したことも無い人間が、歌舞伎界に行って務まる訳が無いから、高校を受験しなさい!! 」って。親の指定する高校に入学出来たら、辞めてもいいって言われたんです。それまでろくに何も勉強もしていないからさ、いわゆる平均の普通校に入学するなんて、ちょっと不可能に近い学力だったんだけど。
- 小林
- じゃあ中学の時は何されてたんですか?
- 春猿
- 遊んでました。
- 小林
- カラオケ行ったり、野球したり?
- 春猿
- カラオケなんて行ってないけど、ただ遊んでた。
- 小林
- 何をして遊んでたんですか? 悪さもしたとか?
- 春猿
- うーん言えないね。あんまり誉められた学生生活ではなかったですね。
- 小林
- 中学にして既に! で、高校に入り、晴れて高校を辞められた後、養成学校を受けられたんですよね。受験勉強とかあるんですか?
- 春猿
- ううん。国立劇場に入るのは、朗読して作文書いて面接するだけだから。歌舞伎に詳しくなくても良いわけですよ。
- 小林
- 作文はどんなテーマで?
- 春猿
- 志望動機とかでしたね。
- 小林
- 朗読といっても、まだ芝居の訓練とかしていないですよね。
- 春猿
- 人間として機能を果たしているか見られたのかな?
- 雑誌ネット
- 漢字が読めるかどうかをみるとか。
- 春猿
- それは無いかな〜。


