Show Creator 小林 香の聞かせてください! 雑誌の履歴書

第5回 ゲスト 占星術研究家・翻訳家 鏡 リュウジ

僕演劇はぜんぜん詳しくないんですけど、考えてみると、演劇自体がもともとは須らく宗教儀礼だったのです。つまり演劇とはそもそも、神々を呼び起こして神々の役を演じ、自分の中に入れこむことから始まっているので、それ自体がもう強力な魔術儀式なんですよね。
小林
じゃあ私は、魔術儀式のプロデューサー(笑)。魔術の捉え方って凄く広いんですね。
魔法を使えないような俳優さんとかっていうのは絶対だめですよ。その場の雰囲気を一遍に変えなきゃいけないわけだから、動きとか呼吸とかそういうものを魔術で呼ぶわけですよね。
小林
みんなが、わーっとなるような、魔法ですね。
うん、魔法。だから劇場はマジカルな空間だと思います。
小林
そのバックステージはすさまじい現実ですけれど。
そう、そりゃそうですよ、テクノロジーだもん(笑)。でも魔法は心のテクノロジーです。
小林
お客さんに異空間を感じてもらうための場所ですものね。なんだか私のやっていることと鏡さんのお仕事が相通じたというか。
僕はパフォーマンスはできないですけど。
雑誌ネット
占星術でプロデュースしたステージ、ミュージカルとかお芝居とかあったらすごいおもしろそうじゃないですか?
モーリス・ベジャールが、火と水と風と土なんていう占星術のエレメントをモチーフにバレエをやってますね。
小林
ベジャールも占星術に興味があるのかもしれない。占いと、音楽やダンス演劇は密接に繋がっているんだというのが改めてわかりますよね。
あとね、実は初期の音楽理論と、占星術と、数学って一緒の学問なんです。
小林
全然関係ないものに思えますけど、例えば五線紙が星の運行と関係あるとかですか?
あります。ハーモニーって日本では和声というんですが、これは調和の「和」なんですよね。この音とこの音と同時に奏でると、調和した音が出るとしますよね。どのようにすればハーモニーとして音を二つ並べられるかを考えるのは、数学なんですね。コードは一本の弦を、数学的な比率で割って分割して、出来るわけです。
小林
ギターにフレットが刻まれているのって、位置が計算されているわけですね。
要は、比率ですね。そこから、星の運行も美しい比率で成り立っているはずって考えられるようになったわけです。
小林
へ〜。音楽の次に天文学が出来たんですね。
天体の運行は完璧で、調和している。調和しているから和音を奏でている筈で、その宇宙を調律している神の手があるに違いない。その神の手のコードを読み解こうとするのが天文学であり、数学なんですね。
小林
カッコイイ。
ニュートン以前の科学者達というのは占星術家でもあるんですよ。ニュートンと論争したことで知られるロバート・フラッドなんかは文字通り、宇宙の音楽を調律する神の手を絵にしています。ケプラーは宇宙の音楽を楽譜にしていますね。
小林
何か今日はすごい勉強になりました。有難うございます。ところで、鏡さん本を出されたそうですね。
『鏡リュウジ 開運!星が導く京都ガイド』という本が出ました。私たちの故郷京都の色々なスポットを紹介しています。良かったら読んでみてくださいね。
小林
是非読んでみます。また私の舞台も観にいらして下さいね。

鏡リュウジさんに

占星術にまつわるショウを作れないかと思いますね。鏡さんのロマンティックな博識ぶりにそのスイッチを押されたんですけども。星の運行と五線譜と呪文。世界中で石器時代から現代はおろか未来にまで続いていく、星に耳をすますという行為。バレエはベジャールが作ったことですし、ショウは鏡さんの監修で、我々が。鏡さんの著作の帯に対象年齢が「10〜100歳まで」って書いてあるんですけど、各所でスケールが壮大な鏡さん、先斗町で鍋でもつつきながらこのショウを夢想しませんか?

小林香
Show Creator。
1977年生まれ。京都市出身。18歳で京都フィロムジカ管弦楽団を設立。その功績が認められ、ニューヨーク・フィルにインターン留学。同志社大学卒業後、ミュージカルの演出・振付家に師事。26歳で東宝株式会社と最年少プロデューサー契約を交わし、「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」「マリー・アントワネット」「ベガーズ・オペラ」などの大作に携わる。07年11月には、東宝新劇場・シアタークリエのこけら落とし公演(作・演出/三谷幸喜)をプロデュース。作詞とショウ演出においても現在もっとも注目されているクリエイターである。

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