- 小林
- 鏡さんって京都ご出身ですよね。京都に生まれたことが、鏡さんの今のお仕事に影響していると思われますか?
- 鏡
- 昔はそんなこと露ほども思わなかったんですけど、やっぱりありますね。ただ京都は日本文化の代表とか言われているけれど、祇園祭の山鉾にペルシャ絨毯が使われていたりと、めちゃめちゃシルクロードの影響を受けていると思うんです。占星術ももちろんオリエントの伝統文化ですから、その影響を自然に受けていたのかなという気はしますね。
- 小林
- 占星術の発祥の地とされているところってあるんですか?

- 鏡
- ええ。バビロニアですね。
- 小林
- バビロニアっていうと?
- 鏡
- 今のイラクです。だから西洋占星術という言い方は間違いです。バビロニア発祥の占星術は、ヘレニズムの時代にアレキサンドリアで花開いて、西ヨーロッパに伝わりました。西ヨーロッパは、キリスト教が強くなってきた、いわゆる「中世」には、文化的に停滞しちゃうんで占星術や今でいう天文学はアラビア世界、イスラム世界で発達しました。12世紀ルネサンス、そしてそれにつづく15世紀のルネッサンス隆盛期に、ギリシャ圏を通じてもう一回ヨーロッパに輸入されたんですね。
- 小林
- へ〜。本当に博学でいらっしゃいますね。他に京都の影響を感じているところはお有りですか?
- 鏡
- 狭いナショナリズムから自由でいられるところですね。僕は世間的に大事だと思われているもの、「国籍」や「ジェンダー」や「権力」に影響されないタイプだと思うんですよ。だから「日本人はこうあるべきだ」とか偉い人たちが言っているのを聞くと「アホちゃうか」と思うところがあって(笑)。でもそういう伝統的価値観の豊かさも大事にしつつ。
- 小林
- 私も京都出身だから思うんですけど、京都では身近に伝統を担っている人たちが、わんさかいるので逆にそういうものに必要以上に萎縮したり縛られたりせずに、自由でいられるというのはあるかもしれません。関西弁の持っている力もありますよね。苦手な方も多いので東京に来てから、私はなるべく標準語で通そうと心掛けています。でも標準語で馴染めないのが「しょうがないよね」って言葉ですね。関西弁だと口をバンッと開けて「しゃあないなあ」って言うじゃないですか。そう言われると何があっても「たいしたことちゃうな〜」って思えるんですよ。
- 鏡
- 沖縄の「なんくるないさ〜」に近い感じ(笑)。
- 小林
- そうそう。同じ言葉なんですけど、言葉の持っているポジティブさが違いますよね。
- 鏡
- あと、どちらの意味にでもとれるような言葉が多いから、お互いに熟知したごく狭い世界の中でしか微細なコミュニケーションが成立しないということがあります。東京とかニューヨークみたいに色々な人がいるところでは、京都弁で会話出来ないですよ。例えば京都では「あの人、ちょっと変わってはるなあ」って言いますね。
- 小林
- フフフフフ、言いますね。どういう意味かみなさんわかりますか?
- 雑誌ネット
- 変な人だなあってことですか?
- 鏡
- いいえ、ほとんど「死ね」って意味ですから(笑)。
- 小林
- そうそう、これを言われたら京都ではまず仲間に入れてもらえないと思ったほうがいいですよ(笑)。
- 雑誌ネット
- 怖い。東京の人だと、「ちょっとあの人変わってるよねー」とかいいながら、普通につきあっていますね。
- 小林
- 話は変わりますが、鏡さんってどうして「鏡」っていう名前を付けられたんですか?
- 鏡
- 当時割りとオカンがテレビにでてたので、絶対息子ってバレないようにしたいって思って。
- 小林
- はいはい。
- 鏡
- 若い頃ってどこでもオカンの名前が出てくるって嫌じゃないですか。だから、親にも絶対言うなって言ってました。ここ5、6年前くらいですよ、もういいからカミングアウトしようかって(笑)。「鏡」にしたのは物を映すって意味ですね、それに当時は占い師の名前ってどこか宝塚風のカタカナ名前が多くて、そんな外国人みたいな名前は嫌やと思ってました。でも全部漢字にする勇気もなくて、まあ、折衷案に流れたといいますか(笑)。

- 小林
- なるほど。大変お忙しいと思いますが、プライベートで空を見上げられる時間はありますか?
- 鏡
- うーん。あんまり見てないなぁ。
- 小林
- じゃあ文献をご覧になって占われるんですか?
- 鏡
- 占星術が扱っている空って、実際の空というよりかなり抽象化された空なんですよ。でも木星が綺麗にでたりすると、やっぱり、ちょっと感動しますね。
- 雑誌ネット
- 前に、鏡さんの講座を拝見した時、占星術をされている方がタロットカードで人を占っていて悪いカードばっかり出てしまう時、どうやって対応したらいいですかって質問された方がいらして。それに対するお答えが面白かったです。
- 鏡
- なんていいましたっけ?
- 雑誌ネット
- 死神のカードも必ずしも死を意味するばかりではなく、一回何かが終わって新しいことが始まることを示唆してあげたらいいって。
- 鏡
- ああ、思い出した。一番大事なことは、あなたがびびるなってことです。こっちが出たカードに動揺すると、相手に全部伝わっちゃいますからね。自分が死神のカードの意味をちゃんと理解して、むやみに恐がるものじゃないんだということを、心の底からわかってない限り、口先で何を言ってもだめですよってお話したんです。
- 小林
- なるほど。占いってその人の人生を左右するようなところもありますからね。結構責任重大なことなんだと思います。ところで鏡さんの書籍の中にはシェイクスピアに関する記述がありますけれども、シェイクスピアも占星術に通じていたと思われますか?
- 鏡
- 作品を読んでみると彼自身がすごく占星術に詳しいはずだと思いますね。占星術がないと、解けないようなこともあるはずです。
- 小林
- 戯曲の中にもそれが盛りこまれてるんですか?
- 鏡
- あります。たとえば、「ジュリアス・シーザー」には、「星だ、星が近づいたせいだ」や「罪は星にあるのではない、われわれ自身にあるのだ」という台詞がありますし、「お気に召すまま」の有名な台詞には「人生は舞台、人は役者にすぎぬ」なんてのがありますが、そこでは人生のステージを7つにわけて乳幼児から老年期までを語っている。この人生の7段階は占星術の7つの惑星に明らかに対応します。
- 小林
- へぇ〜。

