
- 小林
- 東京に進出されるときに、大阪のマインドでここだけは絶対守り通してやるっていうのは意識の中にお持ちでしたか?
- 木村
- ありますね。権威とかあんまり好きじゃないですね。えらそうにしてるっていうのは。
- 小林
- 大阪は中心じゃない強みっていうのがありますよね。
- 木村
- 東京の人って大阪を低くみてますよね。大阪はお好み焼きと、吉本とやくざとみたいなもんですよ。
- 小林
- 東京でうけた舞台でも大阪でうけないものがけっこうありますしね。
- 木村
- 東京はマーケットが甘いと思うんですよね。小劇団もいっぱいあるし。吉本新喜劇を再生して東京公演やった時にお客さんが甘い。なんでも笑ってくれる。こういう所にいるとタレントがだめになるなと思いました。
- 小林
- 大阪と東京の笑いのギャップってどこから来てるんでしょう。
- 木村
- 東京の笑いっていうのは、馬鹿な奴やドジな奴を笑うんです。だけど大阪の笑いは「あほやな。だけど俺はもっとあほやで」っていう笑いなんです。だから大阪の方は人を傷つけないし、レベルが高いです。
- 小林
- なるほど。東京には俺もっとあほやっていう気風がないんですね。担当されているタレントさんのことについて書かれた記事で腹がたったことはありますか?
- 木村
- 腹を立てても仕方ないですよ。書かれたらもうおしまいですもん。でも活字のダメージは大きいので、記者の人とは仲良くしようとしてましたね。でも朝日新聞だから大事にする、業界新聞だから大事にするっていうのはやっちゃだめなんですよ。人間でもそうで、社長だからこうしゃべろうとかダメですよね。そういう人の方が信用できるし。
- 小林
- これからどういう事をしようと考えられていますか?
- 木村
- 一つの組織にとどまるというのはもういいですね。色々な才能を持った人を資金面やネットワーク作りでサポートしたいと思っています。
- 小林
- 人材育成ですね。
- 木村
- この間長良川の鵜飼を見に行きましてね。これだと思ったんです。「鵜飼システム」。鵜匠は12匹くらい鵜をあやつるんですよ。でも12匹だけ飼ってると、毎日毎日がんばって取ってきた魚を吐き出さされてモチベーションが下がってくるんですよ。だから倍の24匹を飼って、その日のテンションを見て漁に連れて行く12匹を決めると、でその上がりで左うちわ(笑)。つまりそれぞれがインディーズでやりたいことがあって、一つのプロジェクトがあって、じゃあ彼と彼女と彼女で集まってやって、成功したら解散するっていうのがいいと思いますね。自分が前に出るよりはそっちの方に興味が移ってきましたね。
- 小林
- 人材育成の醍醐味は?
- 木村
- やっぱり人が化けていくことかな。タレントさんなんかでも売れていくと、顔が変わっていきますよ。評価受けるのはタレントなんですけど、でも嬉しいんですよね。売れたら1千万円3等分なってゆってて本当にしてくれた人なんか誰もいないですけどね(笑)。
またお目にかかりたいです。ある感情の源泉を見極めて、それを言葉に置き換える天賦の才を持つ方だと思いました。自然、自由でないとできないと思うんですよね。なんだかんだ言って、思考が真に自由な状態に自分を維持できるって、ものすごく訓練が必要だと思うのです。そこを越えた方だと思いました。木村さんの名キャッチコピーを聞き書きしますから、それを編んで歌を作りませんか?ピアノ4台による8手のボレロ、歌詞はもちろん私たちの共通言語・関西弁です!

小林香
Show Creator。
1977年生まれ。京都市出身。18歳で京都フィロムジカ管弦楽団を設立。その功績が認められ、ニューヨーク・フィルにインターン留学。同志社大学卒業後、ミュージカルの演出・振付家に師事。26歳で東宝株式会社と最年少プロデューサー契約を交わし、「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」「マリー・アントワネット」「ベガーズ・オペラ」などの大作に携わる。07年11月には、東宝新劇場・シアタークリエのこけら落とし公演(作・演出/三谷幸喜)をプロデュース。作詞とショウ演出においても現在もっとも注目されているクリエイターである。

