- 福島
- 視点を変えると、国会議員になってから、1999年に盗聴法の強行採決を衆議院でやったとき、その場に居た新聞社は「内外タイムス」一社だけ。大手新聞の人たちももちろん国会TVで見ていたんですが。盗聴とか監視社会を取り上げてくれたのは、結局新聞やTVではなく、「週刊現代」とか「週刊プレイボーイ」だった訳です。私はそれまでは、男性誌は女の裸やっとんなと思っていたんだけど、認識を変えましたね。自分たちがやられるという危機感もあるんだと思うけど、個人情報保護法案も雑誌はとても頑張ってくれたんですよ。

- 小林
- 雑誌は敵にもなるでしょうが、割と一緒に味方になって歩んでいるという感じですか?
- 福島
- それは凄くあるんですよ。最近は、あまり敵という感じはないですね。最近嬉しかった取材は、選択的夫婦別姓がテーマの週刊誌。女性も名前を変えたくない、変えなければもっと気持ちよく働いたり生きられる、という立場を記者がよく理解してくれて、しゃべる事と記事の間にバイアスが生じなかった。揶揄でもなく、多様な人生を選択できたらいいよねというコンセプトの中で記事を構成してもらったので、凄くよかったですよね。
- 小林
- じゃあ意外に、雑誌と一緒に戦っていらっしゃるんですね。
- 福島
- そうですね。勿論書かれていることの全てがいいとか、全部が好意的であるということはありえないんだけど、新聞が取り上げないことが雑誌に載るじゃないですか。あるいは私たちも色んな情報や質問を、雑誌からもらうということもとても多いんですよね。非正規雇用やワーキングプアとか、雑誌が先行するもんね。すべての記事が全部いいってわけじゃないけど、そういうチャンネルは、多ければ多いほどいいわけですよ。テレビと違ってコアな情報や、少数者の問題を取り上げてくれるじゃないですか。勿論、社民党や女性や私個人も常に誉めてもらうわけじゃないけど、それは必要経費だと思ってますよね。

- 小林
- お仕事の合間の息抜きは何ですか?
- 福島
- 大きな息抜きは映画ですね。
- 小林
- 宮崎さんのアニメもお好きなんですか。
- 福島
- 大好きなんです。全部観てる。DVDも持ってますよ。
- 小林
- 普段現実と戦っていらっしゃるじゃないですか。例えばいい夢と悪い夢があって、舞台でも、ミュージカルではいい夢を見せようとしていて、シビアな演劇では悪い夢をあえて見させるということをやっていると思うんですが、普段現実と戦っていらして、家に帰られた時はどういったものを見たいな、読みたいなと考えられますか?
- 福島
- 職業上か解らないけれど、例えばたまたま夫が刑務所問題をやっていると、私も弁護士ですから、死刑とか法廷とか、裁判ものとか人権問題、といった刑務所映画はほとんど観ていますね。最近も飛行機の中で「グッバイ・バハマ」というネルソン・マンデラさんが、刑務所の中で27年間刑務所に入っていたことを描いた映画を観ました。現実がシビアだからシビアなものを観たくないとは思わなくて、1つは必要な面と、それからそういう映画を観てむしろ、凄く元気をもらうわけです。27年間獄中にあってボロボロの時も、反アパルトヘイト運動が評価されはじめた時と、大統領になってみんなの前に出た時も変わらないわけね。それは映画だからかもしれないけれど。演劇もそうだけど、暗い演劇を見たからといって暗くはならないですよね。ただ映画はそういう深刻な社会派も観るし「キューティー・ブロンド」や「オースティン・パワーズ」みたいなお馬鹿な映画も観ますよ。宮崎駿さんは子どもが生まれた時から好きだし、「ナルニア国物語」とか「ロード・オブ・ザ・リング」とか「ゲド戦記」など、色んな勇気をもらって少し遠くを見ることができる映画が好きですね。演劇やってらっしゃるから、お解かりになると思うけれど、私、政治家になってからシェイクスピアは面白いなと思うようになった。大学時代、英語の先生がシェイクスピアの授業で何を言いたいかさっぱり解らなかった。でも自分が政治家になると「マクベス」とかが凄く解るようになりましたね。
- 小林
- そうですか。
- 福島
- なぜマクベスが王を殺すのか。なぜマクベス夫人が発狂してゆくのか、なぜあんなひどいのか、なぜあのつまらない魔女の誘いに乗ってしまうのか。権力闘争の場だから、人が権力で滅んでゆくのも、狂ってゆくのも、政治の世界ってすごく面白くて、人間の素晴らしさもひどい所も、ほら遊園地にいくとよくある、等身大に見えずにゆがんで映る鏡みたい。この世界って普通の社会でちょっと変わっているなって人が、政治家になると凄く変わっちゃうみたいな、人間のデフォルメのされ方が凄く面白くて。
- 小林
- 外の人がデフォルメするんですか?
- 福島
- それは外、内両方でしょうね。
- 小林
- そこは福島さんが気をつけていらっしゃる所ですか?
- 福島
- 気をつけてるところですね。
- 小林
- ご主人がこうなんじゃない? っておっしゃったことで現実を考えるみたいなところはありますか。
- 福島
- そうですね。

