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【第2回】「月刊むし」編集長 藤田宏さん
花田
藤田さんが編集長として一番ご苦労されている点を教えてください。
藤田
やはり後継者が育たないことですね。
花田
え?でも虫好きはたくさんいるでしょう?
藤田
飼う人はいるんですが、調べて研究をしたりするような人が少ないんです。
花田
編集部の下の階に虫の売店がありますが、休みの日は普通の親子連れで一杯ですね。ああいう子どもたちが活き虫の雑誌の読者なんでしょうね。いわゆる昆虫少年の数は増えたり減ったりはしていないのでしょうか?
藤田
標本を作って、顕微鏡を見て調べるというコアなファンは大体全国で1万人ちょっとだと思います。『月刊むし』を買うような人たちですね。それ以外のペット感覚でクワガタやカブトムシを飼って殖やしたりして楽しむ人はおそらく10万人以上いると思います。だから、『BE・KUWA』は2万部とか出たんだと思います。子供の本も出しているのですが、子供まで含めると100万人以上いると思います。解禁になってから(注:1999年に植物防疫法が規制緩和され、海外産カブトムシの一部が輸入解禁となった)ホームセンターでもどこでも外国の虫を売ってますから。虫が好きといっても、本当に学者みたいな人たちと、かなりマニアックな人たちと、子供の3段階くらいに分かれるんですね。
花田
でもその子供の中からつながっていくでしょう。
藤田
そうですね、でも、2階の売店でも親子連れで来ていて、子供にせがまれて来たはずなのに段々お父さんの目が怪しく輝いてきて、「うるさい、黙ってろ」とか子どもそっちのけで自分が夢中になっているお父さんも結構多いですよ(笑)。
花田
虫の数が都会では減っていますよね、それなのに昆虫好きな子供の数が減らないのは不思議ですね。
藤田
虫そのものに触れている子供が多いのかは解りませんが、「たまごっち」であったり、「ムシキング」がブームになるということは、潜在的に虫が好きな子供は多いということだと思います。
 ちなみに「ムシキング」はうちの飯島くんがプロデュースをしたんですよ。あんなに流行るとは思わなかった(笑)。うちも長いことやってますが、夏になると判で押したようにマスコミの取材が来ますよ。「虫」、「お化け」、「恐竜」は夏になると必ず取り上げられますよね(笑)。
花田
最近虫が気持ち悪いとか虫を触れないという子供が増えていませんか?
藤田
昔から変わらないですよ。触れる子は触れるし、割合は変わらないですよ。ただ身近に虫がいないので、飼って殖やすというのは多くなってきたと思います。今までは外国のカブトムシを国内に入れることが出来なかったんです。
花田
輸入解禁になることで生態系への影響もあると思いますが。
藤田
私はヘラクレスオオカブトなどを生きている状態で見ることが夢でしたから、それは正直に嬉しいですけれども、放した
りブラックバスのようになったりしないようにと思っています。私も時々環境省に呼ばれてどうしたら良いものかと意見を聞かれています。ただ騒ぎ出すまでに、もの凄い数が入っちゃっている。いまおそらく既に何億匹も入っていると思います。それを飼っちゃいけないと法律化しても、みんなペットとして可愛いがって育ててきたものだから、殺せないで何億匹という虫が野に放たれちゃうことになります。やっぱり最後まで責任を持って飼育することを指導するしかないと思います。
花田
そうですね。逆に言うと僕だったら外の環境で生きられるものなんだったら、生かしてやってもいいんじゃないかと思っちゃうんですけれども。ブラックバスなんかも全部殺すのも可哀相な気がします。
藤田
それはもう本当に色々な議論があって、書店へ行くとそれだけで1つのコーナーもある程ですね、ブラックバスに対しても容認論もあればそうでない意見もあって。私は反対ですが。外来生物と一口に言いますが、あれは明治以降に日本へ入ってきたものを、そう区切っているだけで、本当に厳密に外来生物を遡ると今日の夕御飯も食べられないですよ。昔に遡ると外来生物じゃない食べ物はほとんど無いほどです。だから明治以降って区切ってあるんです。
 それとこれだけのスケールで物流があると、勝手に入ってきちゃうというのもありますね。昆虫もいま沖縄のものが東京で見つかったりというのは、植物を運んだ時に根っこについていたり、枯れ枝について入って、強いものが蔓延するということがあります。今東京都や神奈川に、日本では奄美大島にしかいなかったアカボシゴマダラっていう綺麗な蝶々が定着して増えていますから、何十年もすると、子供の頃から飛んでたよってことになっちゃいますね。
 

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