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【第1回】「寺門興隆」編集長 矢澤澄道さん

○坊主丸儲けって本当ですか?

矢澤
それから、これは敢えて申し上げるだけで、一番という訳ではないんですけれど、寺院に対する偏見や、理解いただけないところ、そういうものがありますね。
花田
具体的にどういう偏見があるんですか?
矢澤
「お寺というのは、とてもお金がかかる」とか。「葬式だとか、戒名だとかでお金を取られる」、というね。言葉は悪いですが「坊主丸儲けだ」という悪口があったりするわけですよね。そうしたことが住職にとっては切実な問題ではないでしょうかね。
花田
実際はそうではない?
矢澤
もちろん中には裕福なお寺もありますけれど、平均的には裕福でないお寺が多いですね。
花田
それは意外です。
矢澤
10月号にも少し書いたんですが、朝日新聞の「天声人語」で、「鎌倉の地域が世界文化遺産に申請しようという動きがあるが、それは如何なものか」という内容のものがありまして、その中にお寺の実名入りで「拝観料300円は高いんじゃないか」というような記事をおかきになったのです。
花田
「朝日新聞天声人語に住職も言いたい 寺院拝観料300円は高いか? 」。ぼくが付けそうなタイトルだな。
矢澤
それで、本当に高いのか安いのかを取材しに行ったんですよ。寺院にいた何人もの方に「300円は高いですか?」と質問をしたんです。すると「全然高くないです」と。誰一人として高いという人はいなかった。鎌倉にあるほとんどの寺院を調べてみたら300円が一番高いんですね。でも、他は200円とか100円とか。確かに、100円200円から較べてみたら300円は高いのかなと。それで、鎌倉市が運営している国宝館とか、神奈川県が運営している近代美術館の入場料を調べてみたら、国宝館が300円で近代美術館が500円なんですね。なら「天声人語」はそれも批判しなければいけないだろうと。そちらは公共の施設で、お寺は民間団体がやっているのに、どうして300円が高いんだろうと不思議に思ったんですね。それで、京都にも取材したら、京都は鎌倉に較べて平均して100円ほど高いんです。300円どころではなく500円とかね。ついでに奈良も取材したところ、もっと高くて1000円ぐらいのところもありました。平均は、鎌倉が200円で、京都が400円の中ごろで、奈良が400円の後半ぐらい、というデータを得られたんです。それでは、「なぜ、拝観料が必要なのか? 」と、当たり前のことなんですが、何十カ寺と取材しましたところ、やはり維持費のためでしたね。
花田
拝観料の一覧表も載っていますけれど、実に行き届いている。
矢澤
どうしても維持費がかかる。公開することを前提にすると、色々な人がいるので、拝観料をとらないと悪さをされることもある。それに、国からの補助もないし。あるお寺なんかでは全運営費の80%は拝観料というところもあるぐらいで、大変重要なものなんだと。そうでないと、お寺も国宝も重要文化財も守れませんという悩みが圧倒的なんですね。
花田
「天声人語」は取材もしないでケシカラン!
矢澤
東大寺から注目すべき意見をいただけたんですけれども、東大寺では明治10年ぐらいから拝観料を取っているんです。ほとんどのお寺での拝観料の設定は昭和30〜40年ごろなんですが、東大寺だけ明治から。「どうしてですか? 」と質問したところ、廃仏毀釈がありまして、お寺がずいぶん壊されたのですが、その中で東大寺も当然その対象になった。まさか大仏を壊すことはできないのでお坊さんたちが維持費をどうするのか悩んだんです。そうしたところ国の人から「拝観料を取ったらどうですか?」という知恵を与えられて始めたそうなんです。
花田
へぇ〜、そうなんですか! 拝観料にも歴史があるんですね。
矢澤
誰もが認めるような10銭という金額から始まり、ずっと続いているということなんかも分かりまして。面白かったですね。「天声人語」の方も、調べればすぐ分かるようなことなんですがね。そういうことは。
花田
朝日は取材しないんですよね(笑)。朝日新聞には宛てたんですか?
矢澤
やってませんね。
花田
宛てれば面白かったのに(笑)。
矢澤
なぜやらないかと言うと、やっぱり身内って意識があるもんですから、あんまりいじめちゃいけない(笑)。(朝日新聞が)取材をやっていないから、我々がいい気になって取材している部分もあるんですよ。小さな雑誌だから、そういうのができるわけですね。
花田
週刊誌が取り上げたら、非常に面白いテーマになりますね。
 

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