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【第1回】「寺門興隆」編集長 矢澤澄道さん

○「寺門興隆」というタイトル

花田
どちらが本業か分からないけれども、ご住職のお仕事のほうは発展しているんですか?
矢澤
そうですね。私には自分の歴史を刻んでいくような感覚はなくて、本当に刹那的なんですよ。前のことは全部忘れてしまう、そういう性格なので。
花田
その点も私と同じですね。済んだことは仕方がないというのが私のモットー(笑)。
矢澤
そういうことですね(笑)。振り返ってみますと、『月刊住職』を創刊した2、3ヵ月後に安楽寺の住職になったんですよね。ですので、大きな式は創刊ギリギリにやったりしてましたね。それから、庫裡と客殿といいまして、人が集まる場所とそれから自分たちが住む場所を新築しましたね。山門も新築したし、最近は本堂の耐震改修と屋根の葺き替えをしましたね。だから、大きいことは3回ぐらいやりました。小さいながらも寄付事業として。
花田
なかなか大変ですね。
矢澤
そのほか毎年1回は必ず高野山へのお参りツアーを組んで行ったりしてます。自分の思う半分ぐらいですが色々やって、檀家さんには迷惑をかけないようにしているつもりです。
花田
『月刊住職』の時からいうと、部数的には少し下がっていますよね。これはどうしてなんでしょうか?
矢澤
どうしてでしょうかね。内容は濃くなっていますが、活字文化の問題もあるかもしれません。それから、前の会社はブランド力があったもので、お付き合いでとっていた人も多いんじゃないですかね。今は本当に読んでいる人だけですから。お付き合いの人はいませんので。
花田
この『寺門興隆』というタイトルは矢澤さんがお付けになられたのですか?
矢澤
ええ、そうです。『月刊住職』という名前の意匠権も私がもっています。私個人で持っていますので、それを使おうかと思ったのですけれど、やはり倒産したということは多くの負債者がいるんですよね、負債者がいるのに、この雑誌が好調だったからといって同じ名前と言うのもね。まあ、ひとつには債権者が追っかけてくるかもという危惧も、多少法律家からも言われましてね。それじゃあ新しい名前を付けようと思って、これをつけたんです。『月刊住職』というタイトルに較べたら60点位じゃないですかね。『月刊住職』に戻せという声は今でもありますよ。でも、なかなかそれは勇気がいることですよね。
花田
確かにそうですね。そもそもこの雑誌は宗派を超えたものですよね。
矢澤
そうですね。「住職」という立場です。住職さんですから、色々な宗派の人がいます。
花田
そのへんの難しさというのはあるんですか?
矢澤
ありますね。「宗派的な偏りがあるんじゃないか」と言われたりね。そういう目で見ると、ある号には同じ宗派のことが4つも5つも載っている場合もありますからね。
花田
そういうバランスというものは考えているんですか?
矢澤
多少は考えていますけどね。それはいたしかたないところがありまして。やはりセクショナリズムというんですか、寺院にもありまして、私も先ほど真言宗と申し上げたとおりですね、やはりセクトなんですよね。
花田
そうですね。
矢澤
ものの考え方も大分違いますし、コスチュームも違いますし、制度自体も違いますから。でも、住職という、お寺を運営していくというんですか、檀家さんと一緒にお寺なり墓地なりの寺院活動を支えていくという意味では、同じ悩みと喜びをもっているんじゃないかと思いますね。(つづく)
 

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