三度のメシより映画好きのオヤジが毎月お薦めの映画レビューをお届け。

fumimaru51のシヌマデシネマ

【第3回】
 出会った人たちみんながいとおしくなる。

『虹の女神 Rainbow Song』
 

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 年末年始が一大イベントだった昔とは違い、今は街に流れるクリスマスソングやライトアップ(震災で亡くなった人に捧げた神戸ルミナリエが先鞭をつけたライトアップ)で年の瀬を感じ、ああ今年ももう終りだ、早かったな、年をとると、一年がだんだん早くなるなと思ってしまう。
 僕は大学卒業来、社会に出て30年間ずうっと小売業で過ごしてきたので、年末年始休暇には、無縁の人生を送ってきた。それでも、師走にはその一年を思い、来るべき来年を思い、自分の人生を振り返ったりする。

 自分の人生を振り返る。
 そんな映画があった。岩井俊二さんプロデュース、熊澤尚人監督作品『虹の女神 Rainbow Song』 (2006年公開)。 
 人生をどう生きるべきかが定まらない、大学生の心情と人の機微を、短いカットを積み重ねた表現に、ドキュメンタリーのような粗い、でも美しい映像で見せて、昨年度最高の日本映画の一本だと思う。
 編集でさらに小気味よく、ポール・グリーングラス監督(『ユナイテッド93』で米国アカデミー監督賞ノミネート)の『ボーン・スプレマシー/ボーン・アルティメイタム』を彷彿とさせる。特に 『ボーン・スプレマシー』。いい映画でしたね。最後の戦いを挑むマット・デイモンの表情がいい。
 閑話休題。

 そう、その手法でオープニングから市原隼人さん演じる智也が、上野樹里さん演じるあおいの家族を空港まで送る序章を一気に見せる。映画内映画『THE END OF THE WORLD』の主題曲『Jupiter』が流れ、気持ちは昂ぶる。
 また全編を通して、智也とあおいのやりとりの妙。二人の演技があくまでも自然で。若い人のやりとりはこうなんだなあと。
 二人に手をつながせて、最初の虹を水たまりの中に見せるシーン。思わずうなる。
 あっ、無論佐々木蔵之介さん、もいつもながらよい味だしてます(リアリティある二人の上司を演じ)。

 1974年。高知を出て関西学院大学に進学した。もともと人付き合いのあまりよい方ではなかった僕は、たいがい一人で過ごし、4畳半1間の北向きの部屋の窓からにび色の空を眺めながらユーミンを聴いていた。
 しかし住んだ下宿が文学部のハミル館と呼ばれる学舎の裏だったこともあり、便利だったんだろう、それを知った同級生たちが講義の合間に徐々に僕の部屋にやってくるようになった。男女を問わずいろんな人がやってきた。
 同じゼミの矢野さん、山下君、若宮君(ゼミがあいうえ順だったのだ)、その友達の高等部出身の人(あまり知らない)、の彼女(全然知らないって)、隣の部屋の池田君の友達の志茂君(隣の部屋に行け!)甲山から下りてきたイノシシ(嘘)、ヒヨケザル(大嘘)・・・・・・。僕の部屋は社交サロンの様相を呈してきた。やれやれ。
 それから33年、今でも交流があるのは9人。多いのか、少ないのか。その頃は好きな人、いやなやつと分け隔てしていたけれど、残りの人生、大部分の人とはもう会うこともないだろう。出会った人たちみんなにありがとうと言いたい。
 あなたが大学生だった頃。今より若かった頃。出会った人たちみんながいとおしくなる。映画『虹の女神』。


 追伸 映画の中で重要な役割を果たす二人の携帯電話。僕の会社でそのそれぞれのストラップを作って、いわゆるプロダクトプレイスメントで協力したのです。
 映画って、本当にいろんな人が関わってできてるんですよね。
 そして映画って、今とこれからに向かって、自分の人生を振り返るものでもあるんですね。

 

今回の映画:『虹の女神 Rainbow Song』

【STORY】

小さな映像制作会社で働く智也(市原隼人)は友人からの電話で、大学時代にサークルで共に映画を撮っていた佐藤あおい(上野樹里)が飛行機事故によりアメリカで命を落としたことを知る。告別式も終わり遺品の整理を手伝っていた智也は、彼女の部屋であおいが胸に秘めていた彼への思いを知る。
http://rainbowsong.jp/

 

山?文雄
本名 山崎文雄。52才。会社員。2001年スタジオジブリ鈴木敏夫氏に出会い、『千と千尋の神隠し』でコンビニでの映画タイアップを実現。その後2006年森田芳光監督作品『間宮兄弟』に出演し、2007年には同監督の『サウスバウンド』『椿三十郎』及び犬童一心監督の『グーグーだって猫である』(2008年公開予定)にエキストラ出演。またリュック・ベッソン監督作品『アーサーとミニモイの不思議な国』では声優にも挑戦。
http://ameblo.jp/fumimaru51/

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