チクチャ・チョング
Jikja Chung
東京生まれ。在日コリアン3世。東京調布市のアメリカンスクールを卒業し、ハーバード大学に進学。ハーバード大学卒業後、民放テレビ局のニューヨーク支局及び東京で衛星放送会社勤務を経て、コロンビア大学ロースクールを卒業。その後、ニューヨークにて大手法律事務所の金融部に勤務。’06年、夫の仕事の関係でカリフォルニア州、オレンジ・カウンティー、ニューポート・ビーチに移住。現在、世界に16のオフィスを持つ弁護士事務所のコーポーレート部に所属し、主にM&Aや不動産系ジョイントベンチャー等のプロジェクトに携わる。その他、地域の非利益団体に団体設立やガバナンス等の法律的アドバイスを無償で提供する活動も行っている。ニューヨーク州及びカリフォルニア州弁護士の資格を持つ。
第十一回 「どこから来たの?」
7月4日はアメリカの独立記念日。この日はアメリカ各地で記念パレードが行われ、星条旗が風に舞います。私はアメリカ市民ではないので星条旗より、記念日につきもののバーベキューの方に興味がいくのですが、毎年この日になると私の「祖国」はいったいどこなのか考えさせられます。
皆さんもご存知のとおり、アメリカ国内で生まれたら誰でも自動的にアメリカ市民になれます。その他の方法だと、まず永住権を獲得し、その数年後に市民権を申請するやり方があります。永住権を獲得する方法はいろいろあります。映画「グリーン・カード」や「ウェディング・バンケット」などで描かれているように、アメリカ人との結婚を通じて取得する方法もあれば、日本を含めいくつかの国籍の人に永住権を与えるくじに応募する方法もあります。さらに、祖国で思想、宗教的な理由で迫害を受けているため、難民と認定される場合(私の事務所は、よくこういうケースをボランティア活動の一環で引き受けます)など。個人的に複雑な思いにさせられるのが、米軍の志願兵になって、ある一定の期間兵役をつとめると永住権を獲得できる制度です。現在の政策の影響で人材確保に苦労している米軍の実態を象徴していますよね。
私は日本生まれですが、韓国国籍なので、アメリカ人に「どこから来たの?」と聞かれると「あーあ、説明が面倒!」と思ってしまいます。とりあえず「日本で生まれ育ったけど、韓国人です」と答えるのですが、生まれた国の国籍を持つのが当たり前のアメリカ人にとって日本の「親の国籍に基づいて国籍を与える」というコンセプトがあまりピンとこないらしく、よく不思議な顔をされます。いちいち、なぜ私が日本で生まれたかなど説明し始めたら歴史的な話にも及んで、もっと混乱させてしまうので簡単な自己紹介が出来なくて困ります。
それでは私の祖国はどこなのか? と考えてみると、現在の答えは「ただいま検討中」です(いつ答えがでるかはわかりませんけど)。私は日本に住んでいた時も外国人でしたし、現在住んでいるアメリカでも外国人です。しかも「母国」の韓国では、大学時代に数ヶ月留学した以外は長期にわたって過ごしたことがありません。「母国語」のはずの韓国語は日本語・英語ほどは話せません。
今振り返ってみると、幼稚園から高校卒業まで通っていたインターナショナル・スクールやアメリカン・スクールでは、親の仕事の関係で海外を転々とした経験のある子たちや、帰国子女たちが多く、どこにいても完全なローカルになれないシチュエーションに置かれた子供たちに囲まれていたので、自分に決まった場所がないことが気にならずに現在に至ったと思います。そのためなのか、現在世界中に散らばっている同窓生の絆はとても強く、多くがボーダーレスな人生を過ごしていて、良い刺激を与えてもらっています。
そういうわけで「ただいま検討中」の私にとって、もうすぐ始まる北京オリンピック、どの国を応援したらいいのか悩みのタネです。
