チクチャ・チョングのMY LITTLE NEWS SHOW

チクチャ・チョング
Jikja Chung


東京生まれ。在日コリアン3世。東京調布市のアメリカンスクールを卒業し、ハーバード大学に進学。ハーバード大学卒業後、民放テレビ局のニューヨーク支局及び東京で衛星放送会社勤務を経て、コロンビア大学ロースクールを卒業。その後、ニューヨークにて大手法律事務所の金融部に勤務。’06年、夫の仕事の関係でカリフォルニア州、オレンジ・カウンティー、ニューポート・ビーチに移住。現在、世界に16のオフィスを持つ弁護士事務所のコーポーレート部に所属し、主にM&Aや不動産系ジョイントベンチャー等のプロジェクトに携わる。その他、地域の非利益団体に団体設立やガバナンス等の法律的アドバイスを無償で提供する活動も行っている。ニューヨーク州及びカリフォルニア州弁護士の資格を持つ。

第八回 フライング・イン・ザ・USA

 アメリカでは毎年5月の最終月曜日は「メモリアル・デー」(戦没者追悼記念日)でお休みです。そしてこの日は非公式な夏の始まりでもあり、9月1日の「レイバー・デー」(労働者の日)までアメリカ人は夏を楽しみます。「メモリアル・デー」の3連休は日本のお盆休みに匹敵するもの。私たちも毎年この時期には夫の両親に会いに、ニューヨーク州北部にあるローチェスターへ向います。ローチェスターは、マンハッタンから車で5時間程度の場所にあるほのぼのとした小さな町です。

 日本国内の旅行では、新幹線、飛行機、車などの選択肢がありますが、広大な国土を持つアメリカの場合、移動距離と時間を考えると、飛行機のほかに手段が選べない場合がほとんどです。もちろんローチェスターへは飛行機で行くしかありません。OCからの直通便はないため、夜行便に乗って午前5時半にニューヨークに到着し、さらにプロペラ機に乗り換えて、ようやくローチェスターに着いたのは出発から10時間後。日本に行くのとほとんど同じ時間が掛かりました。スケジュール通り移動が出来てもハードですが、今回の旅行では石油価格高騰による、アメリカ系航空会社の最悪の状態が乗客にも色々な形で影響している事を痛感しました。

 帰りの朝、飛行機に乗り込み待つこと1時間。片方のプロペラが動かず、乗客全員飛行機を降りることに。以前はもっと便数がありましたが、各航空会社は採算性が低いローカル便を減らしているため、夕方までフライトがなく、その便はオーバーブッキング(予約過多)の状態。飛行機の修理がいつ終わるかもわからなかったので、結局違うルートに切り替える羽目になりました。しかし、そのフライトは6時間後。さあ、フライト時間までどう時間を潰そうと飛行場を見回したら、アメリカの空港でお馴染みのバーがありました。

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アメリカ人の乗客はよく空港のバーで時間を潰します。

 フライトの遅れや乗り継ぎが多いアメリカでは待ち時間をつぶすために、乗客はよくターミナル内のバーで時間を過ごします。日本では、空港で過ごす時間がアメリカに比べて少ないのでこの様な習慣はありませんよね。私たちもビールを飲みながら他の乗客と雑談をしていると、やはり一番の話題は航空業界の話。サービスの低下や数々の追加料金に対して人々のクレームは尽きません。

 例えば、いくつかのアメリカ国内線では通路側や窓側の席に料金が加算されますし、最近、某航空会社がチェックインする荷物ひとつにつき15ドル、2つ目は50ドル追加料金を請求し始めることになったという記事を見かけました。フライトの遅れにしても昨年は史上最悪だったそうです。

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Coalition for an Airline Passengers’ Bill of Rightsのウェブサイト。インターネットを通して署名を集めています。

 アメリカ人はこの状況には黙っていません。アメリカでは何からなんでも権利を推進する団体がありますが、もちろん、乗客の「権利」を推進する団体があります。名前は「航空会社利用客権利保障連合」(Coalition for an Airline Passengers’ Bill of Rights)。この団体は現在2万3千人のメンバーを擁し、飛行機の乗客の権利を保障する法案を推進しています。この法案は飛行機がゲートを出て3時間以上離陸しない場合はゲートに戻ることを義務づけたり、3時間以上の遅れの場合は乗客に対して水、食べ物、お手洗い、医療サービスなどを保証するなどの内容で、この法案推進の署名運動をインターネットや新聞などを通して行っています。さらにこの団体は、各乗客が自分の悲惨な旅行体験を無料で報告できるホットラインも設けていますが、今回私たちは運よく(?)8時間遅れで無事OCに到着したので、幸いにもホットラインに電話をかけるところまでは至りませんでした。