チクチャ・チョング
Jikja Chung
東京生まれ。在日コリアン3世。東京調布市のアメリカンスクールを卒業し、ハーバード大学に進学。ハーバード大学卒業後、民放テレビ局のニューヨーク支局及び東京で衛星放送会社勤務を経て、コロンビア大学ロースクールを卒業。その後、ニューヨークにて大手法律事務所の金融部に勤務。’06年、夫の仕事の関係でカリフォルニア州、オレンジ・カウンティー、ニューポート・ビーチに移住。現在、世界に16のオフィスを持つ弁護士事務所のコーポーレート部に所属し、主にM&Aや不動産系ジョイントベンチャー等のプロジェクトに携わる。その他、地域の非利益団体に団体設立やガバナンス等の法律的アドバイスを無償で提供する活動も行っている。ニューヨーク州及びカリフォルニア州弁護士の資格を持つ。
第七回 弁護士への道
−アメリカ編− PART2
アメリカのロースクールの学生は5月・6月初旬の卒業式を終え、その後は、7月末に行われる司法試験の勉強の準備に入ります。アメリカでは弁護士は州ごとの資格なので、司法試験に合格すれば全国どこでも法律業務を行える日本と違い、通常の法律業務は資格を持っている州でしか行うことが出来ません。
毎年7月末と2月末に2日間から3日間に亘って実施される司法試験は、全国共通の部分と当該州の州法の部分に分かれています。試験の内容は各州さまざまで、20科目以上から出題するニューヨーク州や、法律知識のみならず実務能力を試す州もあります。さらにほとんどの州では、司法試験の他に倫理に関する共通試験で一定の成績をあげることと、犯罪歴などチェックする「人格・適正審査」も必要です。どの州でも司法試験は、判例と法令の丸暗記を要求されるので、いわゆる「考え方」を学ぶことが強調されたロースクール時代の授業は、実は司法試験には役に立ちません。そのため、受験者はBARBRIという司法試験専門の予備校に2ヶ月間通って試験対策をします。私もお世話になりました。皮肉な事にその予備校の教師たちはロースクールの教授でもあるのです。学費を返せー! というのは冗談ですが(笑)・・・・・・。
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殆どの受験生が一度はお世話になる、数々のBARBRIの参考書。
試験内容だけでなく、服装や持ち物の規則に各州の土地柄を垣間見ることができます。例えば、保守的なアメリカ南部にあるバージニア州は、全受験者にスーツとスニーカーというヘンテコな服装を義務づけています。正装を通して厳格な面持ちをキープすると同時に、受験者に考慮して足音を最小限に抑えたい一心で生まれた規則なのでしょうか。異様な光景が眼に浮かびますよね。その他、カリフォルニア州では試験場に持参出来る物のひとつに「枕」があります。お昼寝用でしょうか!?
私は、ロースクール卒業直後にニューヨークの事務所に就職することが決まっていたので、ニューヨーク州の司法試験を受けました。そして、2006年OCに引っ越した際、カリフォルニア州の司法試験も受けました。試験も2度目だったら要領を得て、より楽なのではと思われるでしょうが、私の場合当時フルタイムで働いていたので、試験勉強のみに集中できた最初の試験の時と違って、もっと大変でした。ある天気の良い週末、図書館で受験勉強をしていた時、窓の向こうの海を見ながら「カリフォルニア・ニューヨーク州以外はもう絶対に引越ししないぞー!」と心の中で叫んでいました。
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ニューヨークの司法試験会場の様子
試験の結果は3ヵ月半後に発表されます。5月末にロースクールを卒業しても、一番早くても11月中旬までハラハラドキドキです。すでに卒業前に就職先が決まっていた人たちは、8月から9月にかけて各事務所や政府機関で仕事を始めていますが、まだ「弁護士」では無いので「法務書記」(LAW CLERK)の肩書きで業務をこなします。もちろん、その間は裁判所に出廷することや外部に提出する書類にサインすることは出来ません。残念ながらすでに仕事を始めている卒業生の中にも試験に落ちてしまう人たちがいます。通常1回目は落ちても2回目で受かれば仕事は安泰です。しかし、2回目の試験も落ちてしまった場合、せっかく就職してもクビになってしまうケースが多いのです。そういうわけで、試験に合格した時まずホッとしたのを覚えています。
