チクチャ・チョング
Jikja Chung
東京生まれ。在日コリアン3世。東京調布市のアメリカンスクールを卒業し、ハーバード大学に進学。ハーバード大学卒業後、民放テレビ局のニューヨーク支局及び東京で衛星放送会社勤務を経て、コロンビア大学ロースクールを卒業。その後、ニューヨークにて大手法律事務所の金融部に勤務。’06年、夫の仕事の関係でカリフォルニア州、オレンジ・カウンティー、ニューポート・ビーチに移住。現在、世界に16のオフィスを持つ弁護士事務所のコーポーレート部に所属し、主にM&Aや不動産系ジョイントベンチャー等のプロジェクトに携わる。その他、地域の非利益団体に団体設立やガバナンス等の法律的アドバイスを無償で提供する活動も行っている。ニューヨーク州及びカリフォルニア州弁護士の資格を持つ。
第二回 アメリカ夜逃げ事情
現在バブル崩壊真っ只中のアメリカ。日本のバブルと同様、アメリカのバブルの原動力も不動産でした。土地の値段が生涯高騰しつづけるという「神話」と、歴史的に低い利子率の煽りを受けて、銀行は何が何でも住宅ローンをと、誰かれかまわず提供することにやっきになったのです。以前は家を買うためには頭金が2割、安定した収入など、幾つかの条件を満たさないと住宅ローンが組めませんでした。しかし今回のバブルでは、頭金が殆ど無い(時には頭金がゼロ)、そして信用度が低い人でもサブプライムの住宅ローンでマイホームを購入したのです。さらに投資の一つとして、手軽になった住宅ローンで家を複数買い漁り、家を転がし一攫千金を狙う「フリッパー (FLIPPER)」 (転がし屋)たちが蔓延しました。それらはある意味順調に住宅価格が上昇して自宅の資産価値も高まったため、イケイケムードのアメリカ人の消費はさらにヒートアップし続け、まだ手にしない将来の不動産価格上昇をアテにして、人々は高級車等を平気で購入したのです。しかし、そんな期待を裏切り、実際アメリカの住宅価格が下がった結果、現在の土地の時価より2・3割高いローンの支払い中や、転がす予定だった家が売れないなど、首が回らなくなった人が後を絶ちません。
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YOU WALK AWAYのホームページ。まさに絵のとおり(!)のサービスを提供している
しかし、この様な状況をビジネスチャンスとして利用した、最近注目されている新しいサービスのことを聞いてビックリ。この会社の名前はズバリ「YOU WALK AWAY」(置き去りましょう)。この「置き去り屋さん」は住宅ローンが払えず夜逃げ寸前の人たちに我が家の「捨て方」を指南し、住宅ローンから解放させるサービスを提供しています。さらに、どうやって住宅ローンを一銭も払わず、その家により長く居座ることが出来るかというアドバイスもしてくれるそうです。費用は1棟あたり約$1000ドル(10万円)。受付はインターネットまたは電話一本でOK! 日本では「夜逃げ屋本舗」などの漫画がありましたが、大きな違いはこの「置き去り屋さん」の場合、「ニューヨークタイムズ」、「ウォールストリートジャーナル」等で大きく紹介され、闇夜にまぎれるのではなく、「昼逃げ」を推進しているビジネスなのです。このサービスの利用者もまるで保険会社のコマーシャルよろしく、「いやー、助かりました! 」などとノー天気に夕方のテレビニュースで堂々とコメントしています。日本では考えられませんよね。
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この様な差し押さえられた「捨て家」が増えている
先程述べた通り、少ない頭金あるいは頭金ゼロで家を買った人たちは、価値の下がったマイホームに対して執着が無いので(道徳的な問題は別ですが)家を惜しまずポイ捨て出来るのです。さて、この「のら家」たちは何処へいくかと言うと、お金を貸した銀行に戻るので、各銀行は「捨て家」の処理で現在パンク状態だそうです。もしこの様な状態が続き、ベアスターンズに続いて第2・第3の銀行を米連邦準備理事会(FRB)がなんらかの形で救済しないといけない事態になったら、税金は当分下がりそうにもありませんね。。。トホホ。
